神について思う

私は覚えている


現代社会は、生産性ばかりを追求する。
生産性を向上しろ。効率上げろと…。
でも、人間性を置き忘れている。
国を守るという本来の目的を忘れたら軍隊だって生産性でしかなくなる。
行きつく先は、戦争の生産性であり、効率である。
いかに効率的に、合理的に大量に人を殺せるか、破壊できるか。
見境のない皆殺し、虐殺になる。
本来、軍事だって、人殺しを目的としているわけではない。
国を守るという大義があるから軍隊なのである。大義がなければ山賊夜盗の類と変わりない。
意味もなく虐殺をすることと軍事とは違う。
国を守るための闘いとは、生産性を上げる事とは違う。
いかに外敵から国を守るか。災害から人々を守るか。
生産性以前に志すところが大切なのである。
経済も人間性を忘れたら、生産性ばかりを追い求める軍隊の発想と何も変わらなくなる。


私は、覚えている。
生れてはじめて野生のアザミを見た時、鮮やかで大きかった事を私は、覚えている。
私は、覚えている。夏の暑さを・・・。
蝉時雨を…。
私は、覚えている。ツクツクホーシの鳴き声を・・・。
遊園地で手をつないだ息子の手の感触を私は忘れない。
掌の中のコザクラインコの温もりを、私は覚えている。
私は、覚えている。友との語らい。無邪気な笑い声。
私は覚えている。肝試しの晩、先生が話してくれた怪談。
空き缶に揺らめく蝋燭の明かり。
私は、覚えている夜光虫の神秘的な揺らめきを…。
二人で見た蛍のはかなげな光を…。
私は、覚えている夏草の匂いを潮の香を…。
頬を撫でて吹き抜ける風を・・・。
私は覚えている暖炉で燃える薪の音、臭い。
空に巻き上げられる焚火の炎を…。
喫茶店で本を読んでいる時、聞いた夕立の音を私は覚えている。
私は覚えている。商店街の賑わいを…。
糠みその匂いを…。
私は覚えている町はずれの小さな喫茶店を…。
バス停でバスを待っていたことを私は覚えている。
一人で旅した事を私は覚えている。
私は覚えている。

遠い記憶を…。

あんなこと、何の生産性もなかった。
でも、私は、覚えている。

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