2001年1月6日

神について思う

私は神のみを怖れる


 私は、神のみを怖れる。

 お前は、一体、何に脅え、何を恐れるというのか。
 自分の財産や地位を失うことを怖れているのか。
 それとも、若さを失うことなのか。
 欲しい物が手に入らないことか。
 憎いあいつに打ち負かされることか。
 嘘がばれることか。
 自分の思いが遂げられないことか。
 夢をなくすことか。
 叱られることか。
 怒られることか。怒鳴(どな)られることか。
 殴られることか。
 石を投げつけられることか。
 やりたいことができなくなることか。
 目が見えなくなることか。
 耳が聞こえなくなることか。
 自分の無力さに怯え。自分の無知を嘆き。
 挫折や失敗を怖れるのか。
 現実の持つ圧倒的な力に打ちのめされることか。
 それとも、自分が為さなければならない使命についてか。
 自分の信念を成し遂げられないことか。
 義を怖れるのか。
 これから待ち受けているだろう、過酷な運命を呪うのか。
 人の目に怯え、
 風評に惑わされ。
 風の音にも心を乱される。
 何に、なぜ、それほど、
 自分の影など気にするのか。
 自信なげに、オドオドするのか。
 何が怖いのか。
 人に侮られ、罵られ、嘲りを受けることか。
 プライドを傷つけられることをか。
 傷つくことをか。
 迫害を受けることか。
 この身に向けられるであろう銃口にか。
 この身を切り裂く刃をか。
 心を打ち砕く言葉をか。つれない仕打ちをか。
 何を恐れるというのか。
 何に脅えているのか。おまえは・・・。
 嵐に遭うことか。
 戦争を怖れるのか。
 飢えることか。
 金がなくなることか。
 愛する者を守りぬく自信がないのか。
 強大な敵が現れることか。
 人類が滅亡することか。
 人々を惑わす狂気か。熱狂か。
 国を失うことか。
 死病に取り憑かれることか。
 闇に潜む得体の知れない何者かに意味もなく震えるのか。
 誘惑に負けて、堕落することか。
 自分を見失うことか。
 己(おのれ)の宿命か。それとも弱さにか。
 抗(あらが)うことのできないほどの力で屈服させようとする者に対してか。
 自分に勇気がないことか。
 臆病である事にか。
 過去に犯した過ちや罪の報いに怯えるのか。
 漠然として茫洋とした未来に怯えるのか。
 死に神に震えるのか。
 それとも、それとも、ささやかな幸せを失うことか。
 愛する者に嫌われ、去られることか。
 永遠の別れを予期してか。
 大事な物を破壊されることか。
 憎まれ、蔑まれ、呪われる事をか。
 見捨てられることか。
 ただ、この静けさに耐えられないのか。
 孤独の中で老いさらばえていくことか。
 過ぎ去っていく時間か、失われ記憶を惜しんでいるのか。
 誰にも認められないことか。
 皆に忘れ去られていくことか。
 一人になることか。

 お前は、一体に何に脅えているのか。
 なぜ、闇にひきこもり、一人で震えているのか。

 皆、最後には、ただ一人神の御前に立たされる。
 愛する者、全てから引き離され、
 ただ、一人、神の御前に立たされるのだ。
 何一つ身につけることも許されず。
 ただ、赤裸々に自分を神の御前に曝さなければならない。

 だから、私は、神のみを怖れる。



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